イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
自分の耳を疑った。

「だって間違えたら大沢さんが来てくれるんでしょ」

「あの・・・」

ふざけてるの?と思った。だけど・・・

宮田さんはちょっと来てと言うと私の手を掴み、給湯室へと連れてかれた。

そして私を見るなり手を合わせて「ごめん」と頭を下げた。

「だったらこれからは気をつけ――」

「いや、そうじゃ・・・ないんだ。こんなことでもしないと大沢さんに会えないと思って」

「はい?」

「僕、大沢さんの連絡先とか知らないし、かといって経理部は女性社員が多いというか…三浦がいるでしょ?
だから・・・ごめん。ちゃんとした報告書はあるんだ。今日は部長もいなかったから…小細工しましたごめんなさい」

頭が真っ白というのだろうか…何でそこまでして私に会いたいのかさっぱりわからない。

何か私じゃないといけない用事が別にあるの?

「あの・・・言葉の意味がよく分からないんですが」

首を傾げる私に宮田さんは満面の笑みを浮かべる。

「だよね。やっぱり大沢さんって僕の思ったとおりの人だ。あのね、今夜予定がなければ仕事の後一緒にお茶を飲みにいきたくてこんな小細工をしたんだ。先日用事があって断られたから」

あっ。そういえばお茶のお誘いを受けたのに部長からの呼びだしでお断りしたんだっけ。
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