イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
「ところで・・・誰と一緒にいたんだ?」

「え?」

ちくわを食べようとした手が止まる。

なに?そこなの?

でもここでごまかしても仕方がないのかもしれない。

「宮田さんと…宮田さんのおじいさんのやってる喫茶店でコーヒー飲んでいました」

「そうか。あいつに何か言われたのか?」

「え?そ、それは・・・」

付合ってほしいと言われた。だけどこれ部長に報告すべきなの?

いや、部長に限らず普通こんな質問、兄妹でするものなの?

「もしかして・・・告白された?」

す、鋭い。まさか近くにいた?いやいやそれはないだろうけど透視能力でもあるのか?

「部長鋭すぎます」

すると部長が小さく溜息を吐いた。

「前々から思ってたけど家にいるときぐらい、その部長っていうのやめろ」

「え?でもなんて言えばいいんですか?お兄ちゃん?兄貴?」

するとまた脱力感半端ない溜息を吐く。

「建一でいいよ」

「ええええ!」

そ、そんな名前とかいいの?あれ?なんでお兄ちゃんじゃダメなの?

「そんなに驚くなよ。この年になっていきなりできた妹にお兄ちゃんとかこっぱずかしいんだよ」

言われてみれば私もお兄ちゃんというのはなんともこっぱずかしいけど…でも名前も恥ずかしい。

部長の方がしっくりくるんだけどな。

「わかりました。尽力します」

そうは言ったもののいきなり名前っていうのはやっぱり恥ずかしい。
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