超カリスマ美容師のチャラ男は幼なじみデス

だから、私はそう言って誤魔化した。

本当はこの素直になれない、諦めきれない複雑な恋心のせいだけど。

仕事が忙しくなるのも、主役級の声あても初めてで気が重いのも確かだから。

「でも、やっと掴んだから頑張るよ」

そう言えば隼颯は私の言葉に目を丸くして聞いてきた。

「もしかして、なにか役が決まったのか?」

「うん。まだ発表前だから詳しくは言えないけどね。やっとメイン級の役を出来ることになったの」

そう照れつつ言えば、驚いた後に喜んでくれる。

「良かったじゃないか!ずっと目指してた目標が叶ったんだな」

そう優しく笑って言ってくれた。

「うん。やっとスタートラインに立てたよ」

そう私も笑って答えた。

「なにかお祝いしてやらんとな。何が良い?」

そんな風に問いかけてくる隼颯は帰ってきた当初と随分違う態度。
でも、この優しい感じは私が元々知ってる隼颯だ。

なんだか、嬉しくなってついつい口をついて出てしまった。
ずっと憧れていたこと……。

「隼颯の車でドライブしたい!」

その言葉に、隼颯はサックリ答えた。

「そんなこと、お祝いじゃなくても叶えてやるよ。むしろ紗友里を俺の車に乗せて出かけたいしな。よし、次の火曜休みか?」

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