超カリスマ美容師のチャラ男は幼なじみデス
大きくて節の目立つ手は男らしい。
そんな大きな手に引かれて来たのは、アウトレット内のジュエリーショップ。
お値段もお手頃でOLさんが気軽に手を出しやすい価格帯のブランドだ。
私もネックレスやピアスを持っている。
ちなみにピアスは二年前、隼颯が誕生日にくれた物でお気に入り。
今日も身に付けている。
「ここで何を見るの?」
思わず聞くと、隼颯は微笑んでショーケースの前に私を引っ張る。
そして、辿り着いたショーケースの中身は指輪だった。
「紗友里はどんなデザインがいい?」
「へ?指輪?シンプルなのが好き」
そう答えると、更に質問が重ねられる。
「色は?ゴールド、ピンクゴールド、プラチナとかあるだろ?」
ショーケースを見ながら、私は答えた。
「ピンクゴールドかプラチナが好きかな」
そうすると、ショーケースを私の後ろから覗き込みながら、隼颯は店員さんに声を掛ける。
「すみません。コレとソレのピンクゴールドとプラチナの出してもらえますか?ペアで」
その声に驚いて振り返ると、柔らかく甘い顔をした隼颯と目が合う。
「ここにお揃いで印を付けたい。とりあえずお互い周りに相手が居るアピールしときたい。牽制だな」
そう、照れくさそうに言う隼颯に目が点になる。