超カリスマ美容師のチャラ男は幼なじみデス
そんな弾んだ気持ちを吹っ飛ばすあいつが、何故か帰宅すると我が家に居たのだ。
「ただいま!ねぇ!お母さん聞いて!」
「あら、おかえり紗友里。隼颯くん来てるわよ!」
その一言に、ピシィと私は固まる。
ギギギと動きの鈍い機械のように首を動かした先。
なぜか我が家のリビングでくつろぐあいつ。
「なーんで、私の家であんたがくつろいでるのよ!」
「開口一番に文句とか、相変わらず可愛げねーな!俺はおばさんにカット頼まれたから来たんだっつーの!」
そう言えば、お母さんの髪短くなってた。
しかもちゃんとお母さんに似合ってる。
だからなのか、お母さんもご機嫌な様子だ。
「だったら用は済んだんだからもう帰りなさいよ!」
「ふざけんな!おばさんのアップルパイ食べずに帰るわけないだろ!」
確かにさっきからママのお手製アップルパイの香りはしている。
「食べたらとっとと帰れ!」
そう言い捨てると、私は着替えるべく自室へと引っ込んだ。