ファインダー越しの君へ
そんな塁を見やりながらふーっと圭はため息をついた。


「今日はやめておこう」


「え、ごめんなさい。大丈夫です。私」


「いいんだ。話、しようか」


やめておこうかと言いながら、圭はカメラを構えたまま話し出した。

いつもより少し少なめのシャッター音が響く。


「風景専門だって言っただろ」


「はい」


「ヒカリって言うのは、写真集に挟まってた写真の子でさ。幼馴染で、彼女だったんだ。病弱で、あまり外に出られなかった。俺の撮る写真を、よく喜んでくれたよ」


カメラに隠れて圭がどんな表情で話をしているか塁にはわからなかった。

塁は下唇を噛みながら話をきいた。


(やっぱり恋人だったんだ)


(聞きたくない。でも、知りたい)


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