ファインダー越しの君へ
「そうですか」


全ての説明を聞き終わって、塁の心のざわめきは落ち着いた。

夏休み中の撮影に美映が現れなかった理由は、短期留学をしていたからということだ。

それで、新聞の写真を見て、初めて圭が人を撮っていることに気づいたのだろうという話だった。


「せんぱい、話、ありがとうございます」


「いーえー」


圭は茶化すように言うと、時計を見て、帰ろうかと言った。

そして、学校横の通りを、交差点まで2人は無言で歩いた。

塁にとってはその無言すらも貴重で、愛おしかった。


「じゃあ。また来週」


「はい。先輩。」


圭の背中を見つめながら、塁は今日の出来事をかみしめていた。

色んな話を聞いた。

それでも、ただ好きだという思いだけが胸の中を占領していた。
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