ファインダー越しの君へ
二人が化学室につくと、そこには数名の女生徒達が集まっていた。

フォトコンで大賞をとったというのは反響が大きく、圭に撮ってもらいたいモデル希望の生徒達だ。


「今日も居ますね」


「あぁ、うっとうしいな」


圭は丁重に、時に雑にそれらを断り続けていた。

女生徒達が居なくなった後、圭は塁に向き直って言った。


「そんなことより!何だよあいつは、へらへらついて行ってるんじゃねーよ」


塁はその言い方にカチンときた。


「へらへらなんてしてません!告白されるなんて思ってもいませんでしたよ」


「うるさい、黙れ。俺の大事なモデルに何かあったらどうするんだよ」


(モデル・・・・・・)


塁はうつむいてその言葉を反芻した。


(そうだ、私はただのモデルに過ぎない。先輩のつくる世界の登場人物にすぎないんだ)


先ほど教室の前に待っていた女生徒達を思い浮かべる。

どの子も可愛くて、きれいな人ばかりだった。
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