ファインダー越しの君へ
「つまり夏休みの間登校して来いってことですね」


「まぁ、そうなるな」


塁はしばし無言になったのち、うなづいた。

モデルに心惹かれたわけではない。ただ、夏休み前のこの瞬間に起きた出来事のなりゆきに興味を覚えただけだった。


「いいですよ」


この返答の先にある世界を見てみたいと思ったのだ。

返事をきいた瞬間、圭の表情がぱっと笑顔になった。


(あ、この人モテるだろうな)


塁はふとそう思った。

教室で女子生徒がキャーキャーしていたのも理解できた気がする。

それでも、塁は自分とは関係ない世界の話だと思っていた。

まだ、この時は。 

なぜ三年の圭が、どうやって自分を知ったのかを聞きそびれたことに気づかなかった。
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