ファインダー越しの君へ
3 笑顔
「笑え」
自由にしてくれていいと言ったのは何だったのか。
塁は辟易していた。
圭が命じるのは、あっち向け、こっち向け、座れ、立て、そして「笑え」。
指示が飛びながら四方八方からカメラを構えられる、塁にとって始めての体験だった。
「笑っていますよ」
にこっと、最大限のスマイルをつくり、レンズの向こうの圭に答えた。
「そんなのはいらない」
塁がムッとするのをおかまいなしに圭は続けた。
「そんなのは笑顔じゃねーよ」
「いつも友達といるときにそんな顔で笑ってるのかよ」
「目が笑ってねんだよ」
言いたい放題だ。
塁は泣けてきそうになった。
(友達といるときだって、今だって、私は私だし、何も変わらないのに、何でここまで言われなきゃなんないの)
私はいつもこの顔ですよと言い返そうと口を開きかけたが、圭の言葉はその先を行っていた。
「つくってるんじゃねーよ」
自由にしてくれていいと言ったのは何だったのか。
塁は辟易していた。
圭が命じるのは、あっち向け、こっち向け、座れ、立て、そして「笑え」。
指示が飛びながら四方八方からカメラを構えられる、塁にとって始めての体験だった。
「笑っていますよ」
にこっと、最大限のスマイルをつくり、レンズの向こうの圭に答えた。
「そんなのはいらない」
塁がムッとするのをおかまいなしに圭は続けた。
「そんなのは笑顔じゃねーよ」
「いつも友達といるときにそんな顔で笑ってるのかよ」
「目が笑ってねんだよ」
言いたい放題だ。
塁は泣けてきそうになった。
(友達といるときだって、今だって、私は私だし、何も変わらないのに、何でここまで言われなきゃなんないの)
私はいつもこの顔ですよと言い返そうと口を開きかけたが、圭の言葉はその先を行っていた。
「つくってるんじゃねーよ」