ファインダー越しの君へ
はっとした時には遅かった。

塁の目から涙がぽろぽろと溢れてきた。


「そんなこと・・・、や、これは、何でもなくて。私・・・」


心の柔らかいところに圭の言葉がヒットしたことだけはわかった。

高校に入学して四ヶ月。友達もできて、クラスも楽しくて、何も問題はないと思ってきた。

無理してあわせていた部分があるとか、そんなことは考えたくなかった。

自分の心の動きに戸惑いながらも、泣く以上の失態をしなかったのは、圭が目に見えてオロオロとし始めたからだ。


「悪い。言い過ぎた。ごめん、ごめんな。塁、泣くなよ、そんなに泣くな。」


(俺様先輩のくせに、頭も下げるし、こうやって心配してくれる。いつの間にか塁呼びだし)


すん、と鼻をすすり、あふれた涙を出し切りハンカチで押さえた。


「大丈夫です。取り乱してごめんなさい。立ちますか、座りますか、どうしましょう」


「悪かった。」
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