【短】残月、残滓、残照、残恋。そして、残愛…。


この男が…さっきから降り出した雨よりも私の心を憂鬱にさせる。



「なーに?そんな怖い顔して?」


「…なんでも?」



にっこり



悪魔もびっくりするくらいの笑みを溢してから、私はそう言うと、するり、とさっき羽織っていた薄手のストールを自分の身を包むように纏って、勝手にスタジオの隅へと向かってしまう。



「え?ちょっと?彩雪?!俺、まだ撮り足んないって」


「私のカット割りとっくに終わってるでしょ?知ってるんだから」

「そうよ、ソウ。そうそう簡単に彩雪のこと撮らないで頂戴。他のモデルと違って減るんだから」

「う…」



ちらりとソウの方を見やって告げると、はなさんも、私に加勢する。
すると、ソウは諦めたかのように黙り込んだ。


「そ。いくら専属でも、そうやすやすと何時までも撮らせないわよ、ばーか」


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