キスで溺れさせて
ふざけんなよ
_______バンッ
その音と同時に目に見えるものが一瞬だけ、スローモーションの映像のように動く________
「 ふざけんじゃねえよ! 」
そしてまた同時に、
目の前で大きな声で怒鳴られ、頭が混乱する。
地面についた衝撃と同時に体にきた痛みも吹き飛ぶくらいに。
私、誰かと当たったんだ
「 すみません! 」
すぐに立ち上がって謝れば、初めてその存在が誰かということが分かった。
「 長谷川君 」
長谷川雄輔
私と同い年の高校3年生で、1年生の時から無免許でバイクを乗り回したり、いじめの主犯格だったり
ここら辺では知らない人がいないくらいの不良だった。
だけど、成績は優秀で3年間学年トップを譲ったことがない。
そんな長谷川君にぶつかるなんて、とことんツイていない。
「 お前誰だよ 」
「 え? 」
「 てめえの名前聞いてんだよ!! 」
「 あっ!佐藤菜緒です! 」
私の名前を聞いてから長谷川君はうんともすんとも言わずに、肘についたホコリをほろってその場を去っていった。
ぶつかった私が悪いけど
無視なんて有り得ない。
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