アナスタシア シンデレラ外伝
演奏を終えると、エラは彼女達の元に戻ってきて、「お姉様達は?」と無邪気に尋ねた。私達にここで披露できるような特技があるはずもない。姉のドリセラはあからさまにエラを睨みつけたが、アナスタシアは、エラの無邪気な笑顔に裏があるとも思えなかった。この子は単に世間知らずなのだ。
彼女達姉妹の出自など、すでに知れ渡っているのだ。ここで誤魔化してもなんの意味もないし、姉妹の仲が悪いなどと噂されたら、お母様やトレメイン伯に迷惑がかかる。アナスタシアはできるだけ優しい笑顔でエラに笑いかけた。
「素晴らしかったわ。エラ。こんな素敵な横笛、私、初めて見るの。素敵な音色がするのね。私が吹いてみても良いかしら?教えてもらえる?」
「ええ。喜んで!」
エラに横笛を手渡され、アナスタシアは口をつけて吹いてみた。しかしながら、フーフーと掠れた音が漏れるばかりで、一向に音が出ない。客達のどこかから意地の悪い失笑が漏れ、ドリセラは顔を赤くして怒っている。アナスタシアも自分の失態に動揺したが、こうなってしまっては後戻りはできない。貴族だからと言って、誰もがフルートを吹けるわけではないだろう。多分。笑いたい奴らには笑わせておけばいい。
彼女達姉妹の出自など、すでに知れ渡っているのだ。ここで誤魔化してもなんの意味もないし、姉妹の仲が悪いなどと噂されたら、お母様やトレメイン伯に迷惑がかかる。アナスタシアはできるだけ優しい笑顔でエラに笑いかけた。
「素晴らしかったわ。エラ。こんな素敵な横笛、私、初めて見るの。素敵な音色がするのね。私が吹いてみても良いかしら?教えてもらえる?」
「ええ。喜んで!」
エラに横笛を手渡され、アナスタシアは口をつけて吹いてみた。しかしながら、フーフーと掠れた音が漏れるばかりで、一向に音が出ない。客達のどこかから意地の悪い失笑が漏れ、ドリセラは顔を赤くして怒っている。アナスタシアも自分の失態に動揺したが、こうなってしまっては後戻りはできない。貴族だからと言って、誰もがフルートを吹けるわけではないだろう。多分。笑いたい奴らには笑わせておけばいい。