アナスタシア シンデレラ外伝
言い争いを始めた両親を置いて、アナスタシアは部屋を下がった。
「貴族も破産するのか。」
知ってはいたが、考えたことがなかった。
自分は貴族ではないのだから、いずれ働こうとは考えていた。だが、いざと言う時にはトレメイン伯爵家という後ろ盾を使えばなんとかなるのではないかと、期待していた自分がいたことに、今初めて気づいた。
食堂が潰れた時、次の仕事はなかなか見つからなかった。でも、本当にそうだっただろうか。甘えていたのだ。自分の親ですらない伯爵の財産をアテにしていたのだ。
もちろん、今すぐ破産するわけでもないのだろうが、伯爵は、エラは、母さんは一体これからどうするつもりなんだろう。
「仕事を探そう。」
アナスタシアは街へ出て仕事を探す決心をした。