【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
二人きりの大切な家族なんです
「アジフライ定食お待たせしました〜、ありがとうございます」
出される食券を受け取り、手際よく注文のプレートをカウンターに出していく。
今日は定食と丼もの担当の日だから、汗だくにならずに快適に仕事をこなしている。
これがラーメンや蕎麦うどんの持ち回りだと、暑くてこう爽やかにはいかない。
関東医科大学付属病院――。
大きな大学病院の中にある病院食堂で、私――遠野(とおの)ひまりはアルバイトをしている。
朝はそれなりに早い出勤だけど、お昼が過ぎて片付けが終われば夕方には帰ることができるから、帰りが夜遅くなることはない仕事で長続きしている。
なるべく長く家を空けなくて済む仕事を……そう思って見つけたのが今の仕事だった。
二十三歳から始めたから、かれこれもう五年ほどこの仕事をしている。
「ひーまちゃん、来ちゃった!」
「おおっ、雪音(ゆきね)ちゃん、今日も来てたんだね」
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