【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「すみません! 緊急事態でっ、あのっ」
「表、見ました?」
「へっ?」
「診療案内。今、時間外なんですが」
焦る私と正反対に、出て来た獣医師らしき男性は冷静沈着。
物凄い温度差を感じて、身が縮こまる思いになる。
でも、腕の中のじゃこの熱さを感じながら、怯みそうになるのを奮い立たせる。
「あなた、ここの先生なんですよね?」
「はぁ、まぁ……」
「でしたら……先生! 今すぐ診てください、お願いします!」
「いや……だから、今日はもう診察終わったって――」
「二人きりの、大事な家族なんです! お願いします!」
ひたすら迷惑そうな目をして私を凝視していた目が、抱いているじゃこへと向けられる。
じっと見つめたじゃこから目を逸らすと、「ハァ……」とあからさまに深いため息をつかれた。