【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
低くずっしりと重みのある先生の声は、六渡寺さんを一瞬にして黙らせる。
しんとした待合室に、ピリッとした変な緊張感が漂った。
「動物は、着飾るためのアクセサリーなんかじゃない。飽きたから、流行が終わったから、そんな理由で捨てるなんてこと、許せることじゃない。みんな、命がある」
とどめを刺された六渡寺さんは、下唇をぎゅっと噛み締め、大股で一目散に病院の入り口へと向かっていった。
出入り口の自動ドアのチャイムが鳴ると、モップの柄を力一杯握り締めていた手から力が抜けていく。
すとんとその場に座り込み、限界を振り切りそうだった緊張を深く息を吐き出して落ち着かせた。