【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「はい、います」
返した声とほぼ同時に、ドアが開かれ先生が入ってくる。
先生の顔を見た途端、じゃこを下ろし、無意識に頭を下げていた。
「あのっ……昼間は、本当にすみませんでした。私、先生の病院で、あんな大声で常連の方に暴言を吐いてしまって……営業妨害しました」
ヒリヒリと、擦り傷でも負ったように心が痛い。
そばにいて、先生のことが好きだなって想いを募らせていた。
だから、じゃこの治療費以上に、先生の役に立てたらと密かに思っていた。
だけど……今日の自分の行いで全てが台無しになった。
もしかしたら、どう落とし前つけてくれるんだとか、言われてしまうだろうか。
先生がそばに立った気配を感じ、恐る恐る顔を上げる。
どんな表情で私を見ているのかと確認するより前に、伸びて来た先生の手に引き寄せられた。
「何が営業妨害なんだ?」
私を腕の中に包み込んだ先生の声に不機嫌さは窺えない。
それよりも優しく穏やかで、胸に戸惑いが広がっていく。
「だ、だって……あんなことを」
「俺はちょっとスカッとしたけどな」