【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


フッと笑って、背中に回した手で髪を撫でてくれる。

辻先生に抱き留められている状況に、じわじわと身体が熱を上げていく。

どこを見たらいいのかわからなくて視点が定らない。


「うちに初めて来た時、本当に動物が好きで、大事なんだなって、必死な姿見て思った。初めは、ちょっと興味半分でうちに住まわせたけど、そばに置いたら、どんどんひまりに惹かれてった」

「へ……?」


信じられなくて、都合のいい幻聴でも聞こえているのだと疑った。

先生が、私に惹かれた、なんて……。


「いつ伝えようかと考えてた。でも、今日のことがあって、すぐにでも言いたくなった。ますます心打たれたから」


信じられない言葉が次々と先生の口から紡がれていく。

頭も心もついていけないまま、ただじっと、次の言葉を待つ。


「だからこれから先は、無条件でそばにいてくれないか?」


髪を撫でていた手が後頭部に添えられて、先生の唇が耳元へと近付く。

囁くように「ひまり」と名前を呼ばれて、胸が震え上がった。


「好きだ」


心臓が今まで体験したことがないくらい大暴走を始める。

その音が身体の表面に響いて聞こえていそうで、咄嗟に両手で胸元を押さえていた。

< 106 / 112 >

この作品をシェア

pagetop