【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「そんな……先生が、私のことを……? 私、てっきり、呆れられて、もう、出ていけって言われるかな、とか……」
「だからあんなもの出して、その準備でもしようとしてたのか」
腕を解いた先生が、私の肩を抱いてベッドの前まで連れていく。
さっきどかしたはずのじゃこが、またバッグの中に入ってこちらを見上げていた。
「じゃこ、ほら、出なさい!」
私に叱られても全く退く気配のないじゃこを見て、先生はクッと肩を揺らす。
「ここを出ていきたくないって言ってるぞ、じゃこは」
「えっ、先生、猫の声が聞こえるんですか⁉︎」
「さー、どうだろうなぁ? 入ってていいぞ。代わりにひまり、借りてくな」
勝手にじゃこと交渉らしきことをした先生は、私の肩を抱いたまま部屋から出ていく。
「あのっ」と声を掛けてみたものの、先生はにやりと口角を上げるだけ。
あっという間に連れていかれたのは、前に貧血で倒れて目覚めた先生の寝室だった。