【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「時間外だって言ってるのに……」
そう呟きながらも、開けた自動ドアを押さえ「入って」と中へと通してもらえる。
内心ホッとして『良かった!』と思いながら、「ありがとうございます……」と控え目な声の調子でお礼を口にした。
中に入ると、誰もいない待合室は照明が落とされていた。
でも、大きなガラス窓からまだ明るい外の光が入り込み、そこまで暗くはない。
飼い主さんとペットたちが待つそこは広いスペースが確保されていて、背もたれ付きの椅子が壁沿いに並び、部屋の真ん中には背もたれのないベンチのような大きなソファがドンと鎮座している。
オシャレなデザインだけど、掃除がしやすそうなタイプのものだ。
大型犬がいたり、ケージに入れて動物を連れてきていたり、結構スペースが必要になるだろうから、このくらいの広さがないと快適に順番待ちができないだろうと思えた。
「急患っすか?」
待合室から診療室と思われる扉を先生が開いた時、横にある受付からひょっこり人が顔を出してきて、ビクッと肩を震わせてしまった。