【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「しかし、あの時のひまり、なかなかカッコよかったぞ?」
「え? いや、あの時は本当に必死だっただけで、そんなことはないです!」
「ムロもあのあと、『ひまさんのカッコよさに感動した』なんて言っちゃってたからな」
そんな風にいじられると、今更ながら照れてしまう。
もうなんと言ったかもはっきり覚えていないくらいだ。
「でも、ひまりのそういうところに、俺は惹かれたんだ」
「先生……」
腕の中から見上げた先生は、優しく目尻を下げて私を見つめる。
きゅんと胸が震え上がって、「私だって」と勢いよく声を上げた。
「先生が、動物たちに向ける優しさを見てて、私も……そんな風に大切にされたら、きっと幸せだろうなって、思ったりとかして」
話しながらも、何が言いたいのか、伝えたいのかわからなくなってくる。
ごにょごにょ語尾を濁すと、頬をさらさらと撫でられた。
「そのつもりでいるけど」
「え……?」
「必ず、幸せにする」
約束をするようにそう言った先生の、温かい笑みが近付く。
重なり合った優しい口付けに、幸せを噛み締めながら静かに瞳を閉じた。
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