【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
診察台に下されたじゃこは、不安そうな声で「ニャオ」と短く鳴く。
そっと背中を撫でながら「大丈夫だよ」と声をかけると、連続で「ニャオ……ニャオ」と怯えたような声を上げた。
身体の調子が悪い上に、いきなり知らないこんな場所に連れてこられたら、じゃこだって不安になるはずだ。
この無愛想な先生がじゃこを診るみたいだけど、果たして大丈夫だろうか……。
私には大人しいじゃこだけど、暴れて噛んだり引っ掻いたり、しないとも言い切れない。
そんな心配の最中、奥で手を洗ってきた先生が「はい、どいて」とじゃこの身体に触れる。
邪魔と言わんばかりの態度を取られ、一瞬むっとしたものの素早くじゃこから手を引いた。
「ちょっと診せてくれなー……」
暴れてしまうかも。そんな心配をしていたけれど、その懸念は全く皆無だった。
それどころか、じゃこが大人しくじっとしている。
まるで先生の手からなにか安心できる物質でも出ているかのように、不思議なくらい身を任せていた。