【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


病院前にたどり着き、昨日は見なかった診療案内を目に留める。

午前の診察は九時からだと書いてあるけど、今の時刻はまだ八時を回ったばかりだ。

まだ時間前だけど、もう病院内に人はいるのだろうか。

昨日と同じく病院の入り口から中を覗いてみようとしていた時、「あの!」といきなり背後から声をかけられた。


「ふぁいっ!」


おかしな返事と共に飛び上がる勢いで振り返る。

と、そこに立っていたのは、昨日この病院で会ったあの若い感じの男の子だった。

ホワイトのジャケットタイプの白衣に白いパンツを履いて、自分の職場の看護師さんたちと同じようなユニフォームを着ている。

その両手にはリードを持っていて、柴犬とコーギーの成犬一匹ずつを連れていた。


「あぁ、あなた、昨日のキジトラちゃんの」


彼は私がじゃこを連れていた飼い主だというのを覚えていたらしい。


「あの、じゃこは……」

「え、あの子、〝じゃこ〟っていうんだ。昨日、名前も聞かないで返したみたいだったからさ」

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