【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
蓮さん……あの無愛想獣医師のことだ。
無意識に身構える。
しかし、診療室からは一向に姿を現さず、拍子抜けしそうになる。
そうこうしているうち、犬をゲージに戻した室屋さんが戻ってきて、診療室の扉をばーんと開ける。
「ちょっと蓮さん、聞いてるんすかー?」
「なんだよ、朝っぱらから騒ぐな」
「患者さん、昨日の、キジトラちゃんの。いらしてますけど」
「……。はぁ⁉︎」
室屋さんが入っていった診療室の奥で、驚いた、かつ〝嘘だろ?〟のような声が上がる。
出てきた先生は私の顔を見るなり、思いっきり迷惑そうため息を吐き出した。
そんな態度を受けても、ぺこりと頭を下げて挨拶する。