【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「急げっ、急げ!」
独り言をブツブツ呟きながら、バッグから取り出したキーケースで玄関の扉を解錠する。
仕事を終え、寄り道なしの一直線で一人暮らしのアパートへと帰宅した。
最近はスーパーへの買い物も後回しで、まずは家に帰るようにしているのだ。
カコッと音がして鍵が開くと、「ただいまー!」と声をかけて玄関の扉を開く。
「……あれ。じゃこー?」
いつも私を待っていてくれる愛くるしい姿が、そこにはない。
毎日、仕事を終えて帰ってくると、私が鍵を開ける音で玄関に出迎えに来てくれる愛猫の〝じゃこ〟。
ドアを開けた時には、玄関を上がった私のスリッパの横に、ちょこんと座って待っているのがいつものことだ。
「……じゃこ?」
昨日はドアを開けるとちょうど奥の部屋から歩いてくる途中で、それでもどうしたのだろう?と少し引っかかった。