【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
病院の外に出ると、むせ返るような暑さにくらっとくる。
体力が落ち気味の今の自分の状態にはなかなか応えるものだった。
今日は仕事中も、パートのおばさま方に「体調大丈夫?」と何度も聞かれていた。
じゃこの具合が悪くなってから、まともに睡眠も食事も取れてないのは確か。
なんとかやっているけど、自分の状態がかなり参っているのは己が一番よくわかっている。
じゃこは無事に回復しているようだから、その点はホッとはしたけれど、次に私を悩ませているのは治療費だ。
格好悪いけど、事情を説明して分割払いとかにしてもらえないだろうか。
もしそれが無理だといわれたら、あと一週間ほどで給料が出るから、そこから支払うしかない。
でもそうなると、月々の支払いが厳しくなるわけで……。
決まった収入しかない中で支出が増えるとなると、必ずどこかにしわ寄せがくる。
汗ばむ首元をハンカチで拭い、見えてきた『TSUJI Animal Clinic』の看板の字にまたため息が漏れる。
じゃこに会える嬉しい気持ちの反面、治療費の相談をしなくてはいけないと思うと気が重い。
病院の入口を入ると、涼しい空気にふわっと意識が遠くなるのを感じた。