【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
そういえば、気が重いまま病院の扉を入って、そこからの記憶がすっぽりとない。
気分はかなり優れなかったのは確かだけど、まさか意識を失うなんて……。
「悪いな、俺のベッドで。動物用の診察台に寝かしとくわけにもいかなくてな」
「へっ?!」
広くて寝心地の良いベッドは、先生の寝室のものらしく、途端に鼓動が跳ね上がる。
モノトーン調のシーツは自分では絶対にチョイスしないもので、余計に緊張を煽られた。
「すみっ、すみません」
溺れるようにしてかけられたダウンケットをかき分け、ベッドから立ち上がる。
ささっと使わせてもらった乱れを直し、辻先生が掛けるソファへと近付いた。
「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした……」