【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
頭を下げながら、自分の不甲斐なさに泣けてくる。
そもそも、じゃこが怪我をしたのだって私の不注意のせいだ。
油断をして外出なんてさせてしまったから、ケンカをして怪我をしてきたのが全ての始まり。
それなのに、病院の治療費を支払うのも危うくて悩んで、極め付けには自分の体調まで崩して、関係のない獣医の先生に介抱してもらっているのだ。
情けなくて、もうどうしようもない。
「心配しすぎて、眠れない、食べれない……倒れた原因はそんなところか」
頭を下げたままの私へ、正面から先生の鋭く的確な言葉が降り注ぐ。
そろりと顔を上げると、先生は依然として同じ体勢を崩さずに本へと目を向けていた。
自分の状態を完璧に見透かされてしまっていて、返答がすらっと出てこない。
「その、通りです……。こんなこと、初めてで……怪我をして病院にかかるのも、手術も……。全部、私が悪いことなんですけど……また、今までみたいに元気になって、一緒に暮らせるのかとか、心配で……」
吐露し始めたら胸の内に抱えていたことが遠慮なく溢れてきてしまう。
「それから……診ていただいた治療費なんですが、少し……待っていただくことは可能でしょうか? なるべく早く、お支払いしますので」