【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
言わなくてはと思っていた治療費のこともどさくさに紛れてお願いすると、再び頭を下げて「お願いします」と誠意を見せる。
「重ね重ね情けなくて申し訳ないですが、よろしくお願いし――」
「わかった」
私の声を遮った先生の声と、パタンと本を閉じた音。
猫はいいとしても、いきなり倒れた人間の面倒までみさせられた上、治療費を先延ばしにしろなんて、ふざけるのも大概にしろ。
そんな文句でも言われるに違いない。
それも、思いっきり不機嫌そうな顔をして……。
恐る恐る、様子を窺うように顔を上げる。
じっとこっちを見つめていたと思われる先生と視線が重なると、眼光の鋭さにその場から逃げ出したくなった。
「治療費は催促しない。その代わり、うちで住み込みで仕事しろ」
「……。はいっ⁉︎」
「期限は、一ヶ月」