【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
強引な住み込み契約
翌日――
いつも通り病院の食堂の仕事へと向かい、真っ直ぐ一人暮らしの家へと帰る。
『しばらく暮らせる用意をして来い』
昨日の夕方、辻先生にそう言われ、私は両手に旅行用のボストンバッグとトートバッグを持って家を出ていた。
昨日の今日だ。
いくらなんでも早すぎる展開だけど、押し切られるまま『わかりました』と返事をしてしまっていた。
なんだかトントンと、流れるような形でこんなことになってしまった気がする。
職場に行って大量の玉ねぎの皮をひたすら剥きながら、落ち着いて考えてみると、とんでもない話だとやっぱり驚愕した。
住み込みで病院のお手伝いをする。
しかも、どうやら先生のプライベートの生活までサポートしなくてはならないような話だった。
これはもう、先生は私を家政婦という意味でも使おうとしているのかもしれない。