【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


「なんだ……俺、てっきりそういうことなんだとばかり……」


どこかホッとしたように「ふぅ」と息を吐き出す室屋さん。

そりゃそうだ。

職場の病院の待合室で、院長とポッと出のお手伝い女が、いきなりそういうことにでもなってるのを知ってしまったら、普通の神経だったら嫌悪感に苛まれる。

もしも私だったら、転職を考えてしまいそうだ。


「私も、気付いたら朝で、先生に起こされてて。たぶん、夜中起こしても起きなくて、放置されたのかと……」


それで、タオルケット掛けてもらってたんだよね……。

意外に優しいところもあるのかと驚いた。

私のイメージ、呆れてそのまま放置がいいところだったんだけど……。


「ほっんと、すみません! 変な誤解で変なことを疑って……」

「ううん、大丈夫です。私こそ、ごめんなさい……気が緩みすぎで」

「いえ! でも、蓮さんが急に遠野さんを住み込みで雇うなんて、一体どういうつもりなのか俺サッパリで」


赤になった信号に差し掛かると、室屋さんは連れているハスキーをきちんとお座りさせる。


「それは……私が支払いが即できなくて、それで、最終手段だったというか、きっと、致し方なくというか……」

< 50 / 112 >

この作品をシェア

pagetop