【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「なんだ……俺、てっきりそういうことなんだとばかり……」
どこかホッとしたように「ふぅ」と息を吐き出す室屋さん。
そりゃそうだ。
職場の病院の待合室で、院長とポッと出のお手伝い女が、いきなりそういうことにでもなってるのを知ってしまったら、普通の神経だったら嫌悪感に苛まれる。
もしも私だったら、転職を考えてしまいそうだ。
「私も、気付いたら朝で、先生に起こされてて。たぶん、夜中起こしても起きなくて、放置されたのかと……」
それで、タオルケット掛けてもらってたんだよね……。
意外に優しいところもあるのかと驚いた。
私のイメージ、呆れてそのまま放置がいいところだったんだけど……。
「ほっんと、すみません! 変な誤解で変なことを疑って……」
「ううん、大丈夫です。私こそ、ごめんなさい……気が緩みすぎで」
「いえ! でも、蓮さんが急に遠野さんを住み込みで雇うなんて、一体どういうつもりなのか俺サッパリで」
赤になった信号に差し掛かると、室屋さんは連れているハスキーをきちんとお座りさせる。
「それは……私が支払いが即できなくて、それで、最終手段だったというか、きっと、致し方なくというか……」