【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
なんと説明したらいいのかと思いながらそう話すと、室屋さんは一人何か納得したようにうんうんと頷き始める。
信号が青になって、なぜかニヤリと笑って横断歩道に踏み出した。
「致し方なくても、自分ちに住まわすってことってなかなか……」
「ん……何?」
少し前を歩く室屋さんからぼそぼそと独り言のような調子で声が聞こえてきて、聞き取れず小走りで横に並ぶ。
「いやっ、なんでもないっす! まっ、とにかくしばらくうちにいるってことですもんね。何かあったら、なんでも言ってくださいね」
「あ、はい、ありがとうございます。あの……早速なんですが、辻先生って、室屋さんから見てどんな先生ですか?」
まだ知り合って間もないのもあり、先生のことは何も知らないも同然。
元々は私はじゃこの家族で、患者という立場みたいなものだ。
患者の立場から見た辻先生は、治療も的確で説明も簡潔にしてくれ、特に悪い印象はなかった。
「室屋さんは、働いてもう長いんですか?」
「あー……そうっすね、先生が開業してすぐに雇ってもらったんで、もう六年くらいになりますかね」
「開業六年……え、じゃあ先生っていくつくらいなんですか?」