【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
翌日――。
通常通り午前中の診察を行い、診療時間を少し押して予定通り病院を閉めた。
その間、私は動物たちのケージの掃除や、先生に頼まれた雑用なんかをこなしていた。
「ムロ、あとは頼む」
病院内に併設されているトリミングルームで、プードルのカットをしていた室屋さんに先生が声をかける。
室屋さんはこちらを見ることもなく「了解でーす、いってらっしゃい」と返事をした。
私たちが出かける午後も、室屋さんは単独でトリミングの予約が入っているらしい。
中庭を通って駐車場へ向かうと、メルセデスの高級オフロード車がドンと現れ、思わず足が止まってしまった。
確かこの車、二千万近くしなかったっけ……?
先生は助手席のドアを開け、突っ立つ私に「何をしてる」と声を掛ける。
「あっ、すみません!」
私なんかが乗せてもらってもいいものだろうかと落ち着かない気持ちになりながら、そろりと足を車に上げた。
「あの、外のお仕事って、どちらに……?」
さっきまで白衣を着ていた先生は、いつのまにかプライベートな私服姿になっていた。
Vネックの黒いサマーニットに、薄色の細身デニムがラフだけどシンプルオシャレで格好いい。
でも、病院を出る前、診療室で診察に使うものをあれこれカバンに用意していた。
「二つとなりの駅前にある、猫カフェだ。月一で体調チェックに行ってる」
「猫カフェ⁉︎」