【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


思いもよらない行き先に、つい声のボリュームが上がってしまった。

辻先生は私のリアクションに横からチラリと訝しげな視線をよこす。

ギロリと睨まれた気がして、「あ、すみません……」と謝った。


「好きそうだな、ああいうところ」

「はい! 絶対好きだと思うんですけど、行ったことはなくて、つい興奮気味に!」

「なんだそれ」


ついつい声を弾ませてしまう私を、先生はクッと肩を揺らして笑う。

そんなリアクションは初めてで、思わず先生の横顔に目がいってしまった。

涼しげな目元に、細く綺麗な鼻梁。顎のラインも美しくて、改めて見惚れてしまう。

あまりガン見しすぎてバレると気まずいと思い、視線をフロントガラスの先へと戻した。

交差点へと差し掛かった車は、赤信号で滑らかに停車する。


「不特定多数の人間と接する猫たちだから、感染症などの心配があるんだ」

「感染症……」

「少し前も、どこかの猫カフェで猫パルボウイルスが感染を広げて、ニュースになってた」


動物好きだからか、動物関連のニュースは普段から自然と目に付く。

先生が言ったそのニュースも、テレビの報道番組で目にしていた。

杜撰な経営のせいで、ワクチンや治療を受けさせてもらえなかった猫たちが何匹も犠牲になり命を落としたという内容に心が痛んだ。

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