【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「そのニュース、テレビで見ました。酷いなって……」
「猫パルボは感染力が強い上に、感染すれば致死率が高い危険なやつだ。だけど、そこら辺で蔓延しているようなものでもない。要は、しっかりとワクチンを受けていれば恐るものでもない」
「じゃあ、やっぱり、粗悪な環境だったということなんですね……」
信号が青に変わり、先生は車を発進させながら「ああ」と答えた。
人間の身勝手で苦しむ動物たちがいることは、どうしようもなく辛く悲しい。
自分に力があれば、一羽一匹、一頭でも助けてあげたいなんて思ってしまう。
現実的には無理な話だけど、そう思わずにはいられない話を多く耳にする。
「おいおい、あんまり神経質になるな。うちで手伝いをしていれば、腹立つ話はしょっちゅうだぞ」
「そうかもしれないですけど……なんか、人間って勝手だなって」
つい胸の内が口に出てしまう。
先生の視線を頬に一瞬感じ取った。
「人間たちの都合で不幸になる動物たちは、可哀想です……」
私の言葉を最後に、車内には沈黙が落ちた。
窓から流れる景色を眺めているうち、車は賑やかな目的の駅前周辺へと到着した。