【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
雑居ビルが建ち並ぶ繁華街のコインパーキングへと車を駐車し、病院から持ち出した荷物を手にした先生へと続く。
ほど近くの比較的新しいビルのエントランスを入ると、二基あるエレベーターの間に【ネコCafe Cats macaron】という猫のオブジェが付いた可愛らしい立て看板が置かれていた。
このビルの五階に店舗があるらしい。
「あの、先生、その荷物、私が持ちましょうか?」
エレベーターを待ちながら、先生の手にある荷物を横から覗き込む。
手伝いで同行しているのに何も役に立っていない。
せめて荷物持ちでも、と思って手を伸ばすと、先生はひょいと荷物を持ち替えてしまった。
「女に荷物を持たせる趣味はない」
「え、大丈夫ですよ、そのくらい。なんのためについてきてるんですか」
「はいはい、わかったから。ほら来たぞ」
開いたエレベーターに向かってポンと背中を押される。
取り合ってもらえないまま、乗り込んだ箱は五階へと向かって上昇していく。
「これじゃあついて来た意味ないじゃないですか。荷物一つ持たなくて」
「そんなことない。ちゃんと意味があって連れてきてる」
先生はフッと意味深に笑う。
首を傾げると「魔除けだよ」と意味のわからないことを言った。