【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
丸まるようにして座る身体を抱き上げ、お姫様抱っこのような体勢を取らせる。
お腹側のふわふわな柔毛をかき分けて異変を探していくと、右足の付け根近くの毛が広い範囲に渡って濡れているのを発見した。
一部そのせいで毛が固まった感じも見られる。
床を汚していたのはこの部分で、どうやら膿と血が混ざっているようだ。
「どうしよう……じゃこ、じゃこ」
ここ数日、元気がなかったのはこの傷のせいだったのだ。
そうとも知らず、一日ひとりぼっちでこの部屋に置いて出かけてしまった。
腕の中にいるじゃこの姿を目に、罪悪感にさいなまれる。
「じゃこ、病院行こう! 今から連れてってあげるからね!」
じゃこの寝床から、敷いてあるじゃこお気に入りのタオルを引き抜く。
それを身体に巻き、バッグを肩にかけて帰宅したばかりの部屋を飛び出した。