【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


エリアマネージャーの女性は、可愛らしく「ありがとうございます!」と先生を見上げる。

先生の方はその視線に気付いていないのか、はたまた気付かぬふりなのか、目を合わさないで靴を脱いでいた。

そんな様子を外野から見ていて、ははーんとピンとくる。

この人、もしかして先生のこと……?

店内奥へと案内する彼女は、猫なで声であれこれ先生に話しかけている。

邪魔しないよう控え目にあとに続いていくと、バックヤードにある猫たちのケージへと案内された。


       ※   ※   ※


「可愛いぃぃ……」


気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす、アメリカン・ショートヘアの子の顎の下を撫でる。

バックヤードに案内されてから三十分もしないうち、先生は今日の往診をサクッと終わらせてしまった。

まず、毎回行っているという猫たちの健康チェックを行い、新しく入った二匹の猫たちのワクチン接種。

最後に、先週去勢手術をした子の経過観察をした。

診察が終わり、先生とエリアマネージャーの女性が話している間、邪魔にならないように店内の隅に身を置く。

土曜日の午後というだけあって、客入りはなかなかだ。

とはいえ、最近は猫カフェも少しずつライバル店を増やしている。

ひと昔前は店自体が珍しく、入店に待ち時間があったくらいだ。


「お茶していくか?」

「へっ?」

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