【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
タワーの中腹でくつろいでいる子と遊んでいると、背後から突然辻先生に声をかけられた。
振り返った私の背後で、先生は一人掛けのふかふかなソファーに腰を下ろす。
撫でていた子が私の手からするりと抜け、呼ばれてもいないのに先生の膝の上に飛び乗った。
先生はそれに驚くこともなく、私を見たまま毛並みの整った背中を優しく撫でる。
「え……お茶、というのは……」
私がそう聞いたタイミングで、エプロンの店員さんが「先生、何にしますか?」とやってきた。
「何にする」
「え、あ、えと……」
「大抵のものは出してくれる」と言った先生は、「俺はコーヒーで」と店員さんに注文した。
大抵のものは出てくると言われても、挙動不審気味に近くにあったメニューを手に取る。
定番のドリンクから、スイーツ寄りのちょっと変わったメニューまでがびっしりと並んでいて、開いたら開いたで困りかけてしまった。
「じゃ、じゃあ……ロイヤルミルクティーにします」
注文を聞いた店員さんが、「少々お待ちください」と言って引っ込んでいく。
ふと目を向けると、膝に乗ったアメリカンショートの他にも、先生の側に猫が集まってきていた。