【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「よく……お茶されていくんですか?」
「いや、しない」
近付いてきた猫たちを一匹づつ撫でながら、先生はあっさりと答える。
「えっ、そうなんですか?」
「行ったことがないと言ってたから、来たついでだ」
あ……それって、私が猫カフェ行ったことないって、言ったから?
「ありがとうございます」
仕事を終えたら、さっさと立ち去りそうな先生が、私が猫カフェに行ったことがないと言ったことを覚えていて、こうして時間を使ってくれている。
私の言動になんか無関心そうなのに、なんだかほっこり嬉しい気持ちが胸に広がる。
しばらくすると、さっきの店員さんがトレーを手にやって来て、「お待たせいたしました、有機栽培珈琲とロイヤルミルクティーです」と、ソーサーに載ったカップを二つ先生の掛けるソファーのそばのミニテーブルに置いていった。
「ここの猫たち、先生に懐いてるんですね」
先生が座るそばで膝を折り、床に正座をする。
先生の膝にはさっき私が遊んでいたアメリカンショートが依然陣取っていて、その他にもロシアンブルーやスコティッシュフォールドがそばに座っている。
店内を見渡しても一人のお客に一匹、もしくは一グループに一匹の猫だから、先生は群を抜いて猫たちに人気だ。