【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「定期的に来ているからな、多少は覚えているのかもしれないな」
「でも、猫って興味がないと覚えないっていいますよね? だとすれば、先生は猫の興味のある人ってことになりますね」
気まぐれで有名な猫だけど、本当に先生にぴったりだ。一匹去っていくと、またどこからともなく他の猫がやってくる。
まったりとお茶をいただきながら、猫たちと触れ合える。こんなに最高な場所はないと、改めて思っていた。
猫カフェを考えた人は天才だ思う。
先生の膝の上にいたアメリカンショートの子が、私のそばへとっとっと歩いてくる。
腕に小さな頭を擦り付けるようにしてきて、可愛すぎたあまり「あぁぁ」と語尾にハートが付いたような声を出してしまった。
「本当に好きなんだな」
「はい! そりゃもう大好きです!」
思わず力んで答えてしまうと、先生はフンと鼻で笑う。
急激に恥ずかしくなってきて、私にくっ付いて腰を落ち着けたアメリカンショートの子を触ることに集中した。
「だって、こんなに可愛いんですよ? この姿も、仕草も、癒しでしかないですもん――」
そんな風に力説していた時、猫を見ている視界に先生の腕が入ってきて、伸びてきた指先が私の顎の下に触れた。
えっ⁉︎と思った時にはこしょこしょとくすぐるようにされる。
「なっ、なんですか⁈」
驚いて正座を崩し、飛び上がるように後退していた。
そんな私を目に、突然謎の行動に出た先生は今度はククッと肩を揺らす。
「いや、猫っぽかったから、撫でたら喉鳴らすかなーと思って」
悪びれる様子もなく出てきた言葉に、意識とは別に顔が熱く火照るのを感じた。