【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「なんだかんだいって、蓮さんがひまさんを気に入って住み込みで置いてるわけじゃん? だから、俺はニヤニヤしちゃうわけだ」
「……へっ⁉︎ な、なんでよ! き、気に入る⁈ ないない! そんなこと有り得ない!」
動揺しつつも、ハッキリキッパリ否定する。
気に入るじゃなく、仕方なくが正しい。
治療費を支払えず、やむを得なくだ。言うなら借金のかたのようなものだ。
「いやいや、それしかないでしょ。自分の家に住まわせるんだよ? それって相当じゃん?」
「違うよ、細かく説明すると色々と事情があって……通ってだと、先生のご飯を作る都合とか」
「えっ! ひまさん、蓮さんのご飯まで面倒みてるの?」
一際大きな声で反応したムロくんは、二重の目を大きくして驚いた顔を見せる。
「うわぁ、それ絶対うまいご飯だよね。あー、いつ行こうかな、病院食堂」
ご飯のネタから、話はいい具合に食堂へと逸れていく。
ホッとしながらモップがけを再開した時、病院の入り口が開き人が入ってきた。
「こんにちはー!」
弾んだ高い声。
軽やかに現れた足元は高さ十センチはあろうピンヒール。
身体のラインが綺麗にわかる綺麗なパープルの膝丈タイトスカートに、ハイネックデザインのレーストップスが目に飛び込む。
シースルーで涼しげなPVCバッグには、有名ハイブランドのロゴが入っていた。