【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
じゃこが動物病院にかかったのは、過去に一度きり。
生まれて一年ほどの頃、去勢手術をしたときのみだ。
しかも、それは事前に予定をしていて、地元のよく知る動物病院でお世話になった。
だから、今のこの地では病院にかかったことがないのだ。
でも、じゃこを抱いた私の足は迷わず目的の場所へと突き進む。
確か、動物病院だったはず……!
職場の大学病院のほど近くに、近代的な建物がある。
モノトーン調の色をした、四角を幾度も組み合わせてできたようなお洒落な造りで、暗くなると壁面がライトアップされて美しいのだ。
一体なんの建物だろうと近くで見ると、〝Animal Hospital〟とあり、洒落た動物病院だな、と思いながら見ていた。
「じゃこ、もう着くからね、もう少し頑張ってね」
ひたすら走って、目的の立派な建物へとたどり着く。
表で改めて動物病院だということを確認し、入り口へと駆け込む。