【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「ここ……ドッグランですか?」
いつもムロくんと歩く散歩道より少し遠出し、公園通りを病院から反対側へと行くと、柵と木々で囲まれたドッグランにたどり着いた。
辻先生は閉まっている入り口の門にある暗証番号のロックを手早く解除する。
不思議に思い「あの」と声を掛けると、門を開いた先生が「うちが持ってるドッグランなんだ」と私を中へと促した。
「えっ、先生……病院の、ということですか? 個人的にこんなドッグラン持ってるなんてすごい!」
「普段は管理を任せて自由に開放してる。今はリードに繋いで、自由に走ることもできなくなってる世の中だからな」
確かに先生の言う通りだ。
散歩をするにも、今はマナーとして繋いで歩くのが当たり前。
トラブルを防ぐために仕方ないことだけれど、犬たちにとっては動きを制限されていることはストレスだと思う。
「よし、走ってこい」
先生は連れてきた三匹の犬たちをリードから解放し、一匹づつ背中を撫でて声をかける。
その中にはアレサもいて、ものすごい速さで草の中を駆けていった。
それに習って、私も連れてきた二匹をリードから放した。