【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「こっちがダンゴ虫。で……」
私のスニーカーの上にいるワラジ虫を摘み、手の平に載せてきたダンゴ虫の横に並べて見せる。
「ほら、よく見てみろ」
「……ほんとだ。似てるけど、ちょっと違う。ワラジ虫の方が平べったくて、ダンゴ虫は丸いフォルムなんですね」
「それから、ダンゴ虫には尻尾はないが、ワラジ虫には二本の尻尾がついている。体の色も違って、ワラジ虫の方は茶系の色をしているだろ。触角も形が――」
先生の手の平に載せられたダンゴ虫とワラジ虫を覗き込みながら、澱みのない説明に耳を傾ける。
動物だけに留まらず、虫にまで詳しいの?と話を聞きながら心底感心していた。
「先生って、虫にまで詳しいんですね! まさかダンゴ虫とワラジ虫の違いを説明してもらえるなんて思ってもなかったし、なんか楽し――きゃっ!」
二人で小さな虫に視線を注いでいた時、突然、背中にどんと衝撃が走った。
その勢いでしゃがみ込んでいた身体が前につんのめるようにして倒れていく。
あっと思った時には、目の前にしゃがみ込んでいた先生を押す形で一緒に体勢を崩していた。
「いったぁ……」
咄嗟に地面に腕をつき、肘から下が擦りむいたのかジンとする。
気付くと、先生に覆いかぶさって押し倒してしまったような体勢になっていた。