【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
いつまでもうだうだ考えてないで、それこそ、犬に噛まれたと思って忘れてしまった方がいいのかもしれない。
そうでもしないと、このまま先生のところで働けば働くほど寿命が縮まりかねない。
でも、頭で思ったようにそんな簡単に処理できるのかな……。
「おーい、ひーまちゃん!」
「わっ、びっくりした……」
またしても自分の世界に飛び掛けていると、カウンターの向こうから名前を呼ばれた。
サラダから再び顔を上げると、にっこり微笑む白衣の芽衣子ちゃんと、スーツに身を包んだ雪音ちゃんが「やっほー」と手を振っていた。
「あぁ、二人揃って、いらっしゃい!」
そそくさとカウンター前に出ていき、出されている食券を回収する。
冷やし中華と冷やしうどんの注文だ。
「ひまちゃん、どうしたのー? さっきから何回も呼んでるのに全然気付かないんだもん」
雪音ちゃんのツッコミに無駄にどきりとする。
「ごめんごめん」と笑って流してみると、芽衣子ちゃんが少し真剣な面持ちになって口を開いた。
「この間、あの後は大丈夫だった? 倒れたりしなかった?」