【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
じゃこのことで悩んでいた時、芽衣子ちゃんとアジフライ先生に帰りがけ心配された、あの日のことを言っているのだと思う。
あの後、辻先生のところで倒れたんだよね……。
結局、芽衣子ちゃんとアジフライ先生の心配してくれた通りの展開になったわけで、顔を見てわかるなんてさすが医療人なんだなぁと内心感心してしまう。
「うん、なんとか、大丈夫だったよ。ごめんね、心配かけちゃって」
でも、余計な心配を掛けたくなくて、倒れたことは言わないでおいた。
「おっ、いたいた! ひまさーん!」
奥から出してもらった冷やし中華を芽衣子ちゃんのトレーに載せたところに、毎日聞いている明るい声が耳に飛び込む。
「ムロくんっ⁈」
目を向けると、頭上で両手をぶんぶん振ってこっちに近付いてくるムロくんの姿が。
いつものケーシージャケットの白衣のままを見ると、病院が目の前だし、コンビニに行くような感覚で来てくれたようだ。
「えっ、来てくれたんだ! 今朝、何も言ってなかったから、あっ……!」
ムロくんのあとに遅れて、同じく病院での白衣の格好で姿を見せた辻先生に、思わず目立つ声を上げてしまった。