【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


目の前にいる芽衣子ちゃんと雪音ちゃんが、ムロくんと辻先生を見て「え、誰?」と興味津々に顔を突き出す。


「えっと……前の、動物病院の先生たちで、お世話になってて」

「えっ、ひまちゃんのあの具合悪かった猫ちゃんのことで? 見ないイケメン先生だと思ったら、獣医さんなわけか……」


なんて、雪音ちゃんはさすが目ざとい。


「そうなの、それで、色々あって……」


説明をしていると、芽衣子ちゃんの横からムロくんが食券をカウンターに出してくる。

私たちが知り合いとして話しているのを察したムロくんが、いつもの通り愛想良く「どうも」と二人に挨拶した。


「やっと来れたー、噂の美味しい病院食堂。どれがいいのかわかんなかったから、とりあえず日替わり定食ってのにしてみたんだけど」


ムロくんは相変わらずの調子で話しかけてくる。

引き取った食券は二枚あって、どうやら辻先生の分と一緒に出したようだ。


「今日の日替わりはチキン南蛮定食だよ」

「おっ、チキン南蛮、いいじゃん。蓮さん、チキン南蛮だって」


冷やしうどんを芽衣子ちゃんのトレーに載せると、二人の好奇なまなざしに射抜かれた。


「とにかく、今度改めてじっくり聞くからね!」


やたらニヤニヤして雪音ちゃんが去っていくと、続いて芽衣子ちゃんもトレーを手に「また連絡するね」と後に続いた。

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